「停戦を仲介するよう米国に伝えて。3千人以上の罪のないパレスチナの子どもたちが命を落としているというの。あと何人の子どもたちが死ぬことでのみ平和を得ることになるのか」
義肢装具士のラモーナ・オクムラさん(71)はパレスチナ自治区ガザ地区から米国の家族に、地鳴りのような音が後ろで聞こえる音声メッセージで訴えた。
イスラエルが10月7日のハマスの攻撃への報復としてガザ地区への空爆を開始したとき、オクムラさんはパレスチナ子ども救済基金(PCRF)のボランティア活動に従事していた。オクムラさんの無事帰国を願う家族は献身的に政府に向けてメディアキャンペーンを行ってきたが、約300人の外国人がラファ検問所を通って退避することへのエジプト、イスラエル、ハマスの合意を受け、オクムラさんは11月1日にエジプトに入り、その後米国に戻ることができた。
ハワイ出身、シアトル在住のオクムラさんは、ワシントン大学医学部リハビリテーション医学科の講師を2017年に退職後、過去5年間、ガザ地区で銃創や爆撃での被害、先天性欠損症に苦しむ子どもたちの治療に携わってきた。イスラエルの封鎖によりガザ地区には近代的な設備や物資が乏しく、基本的な材料を使って子どもたちに義肢装具を提供する医療スタッフ養成にも尽力した。同大教授のジャンナ・フリードリーさんは「彼女からのメールはすべて、子どもたちを助けるための停戦を嘆願するものでした。子どもたちが被害に遭っていることに苦しんでいました」とオクムラさんの心情を思いやった。
最悪のケースを覚悟したという兄のマイルズ・オクムラさんは喜び、安どする一方で、「妹は無事でしたが、多くの命、多くの子どもの命が奪われました」と現地の状況を案じた。
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