日系シニアへの恩返し続ける グレートフル・クレイン劇団

グレイトフル・クレイン劇団のメンバー。福島県南相馬市のある公共住宅でのパフォーマンス後に撮影した一枚(2023年10月11日、福島県南相馬市、写真提供=マイケル・パルマさん)


グレートフル・クレイン劇団は、ロサンゼルスを拠点に音楽・演劇活動をする日系米国人を中心とした劇団だ。名前は「ツルの恩返し」の英訳から。2001年に日系老人ホームで高齢者への恩返しのために始めた慰問活動をきっかけに、日系1世、2世の苦難、奮闘、貢献に敬意と感謝と労いの気持ちを込め、そして日系人の歴史と文化を世代を越えて継承するため、日系人の強さと忍耐の物語を語り、懐かしい思い出の歌を歌い続けている。

5年ぶり訪日、被災者に歌声

福島県南相馬市にあるよつば保育園の幼稚園児たちに向けて「ウサギとカメ」を披露するヘレン・オータさん。2011年の原発事故による福島の水の安全性にまだ不安を感じている親たちのため、グレイトフル・クレイン劇団はここ数年、資金を集め、同保育園にボトル入り水を提供している(2023年10月11日、福島県南相馬市、写真提供=マイケル・パルマさん)

活動は海を越え、11年に発生した東日本大震災の被災者支援にも熱心に取り組んできた。14年の初訪日から16年、18年と、希望と励ましを込めた歌声を運び続けた。20年10月に計画していた4回目の慰問は世界的な新型コロナウイルス大流行のため中止を余儀なくされ、昨年11月、5年ぶりに再訪が叶った。

事務局長を務める、日系3世の劇作家でジャーナリストのソウジ・カシワギさんは手記に、目の当たりにした被災者の今を書いた。

福島県の住民は原発事故による問題に直面し、「安全でない」「汚染されている」という烙印を押され、それは現在まで続く。復興公営住宅避難者の高齢化と孤立化も深刻だ。

劇団には広島にルーツを持つメンバーも。自身の家族にも影響を与えた核の汚名への共感と、日系コミュニティを代表して、東北の人々にメッセージを伝えた。「あなた方にはアメリカに友人がいます。私たちはあなた方を忘れてはいません」

宮城県南三陸町の男性からは「震災経験者として、遠くまで来て歌ってくれたことに感謝しています」、石巻市の女性からは「もう1日頑張れる気がします」という声が。福島では参加者が2人しかいない施設があった。そのうちの1人の男性は東北応援歌「花は咲く」の歌唱中に泣き出し、それを見て、メンバーも泣き出した。ショーが終わる頃には笑顔で「世界中の誰かが私たちのことを忘れていないと知って、とても感動した。こんなに嬉しかったのは久しぶりだ」と言った。

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