盆踊りに新曲「ランタン・ソング」 日系四世アーティスト集団が制作

「ボンブ・ストーリーズ」の(左から)シドニー・シロヤマさん、ビッキー・ゼンさん、ルーク・ウエダさん、ミコ・シュドウさん、ミハル・オカムラさん、ケンドール・タニさん(写真提供=ボンブ・ストーリーズ)


お盆のシーズンになると各地の仏教会では盆踊りが開催されるが、そこに今年は新たな曲が加わる。主に日系四世からなるアーティスト集団「ボンブ・ストーリーズ」が米国仏教団(BCA)の創立125周年を記念して制作した「ランタン・ソング」だ。

サニーベールを拠点に活動する和太鼓奏者で作業療法士のシドニー・シロヤマさんは2019年、友人から心の健康に関連した和太鼓の作曲を頼まれた。シロヤマさんがBCAの仏教青年会に所属し、大学生だった頃に知り合ったメンバーと、日系の太鼓コミュニティに長年携わるクリスさん、ダンさんのクボ夫妻のコルテスの農場でのワークショップに集まり、そこで初めて共同で曲を制作し、自分たちを「ボンブ・ストーリーズ」と名付けた。ボンブは仏教の「凡夫」から。人間の不完全性を表している。以来、マンザナー強制収容所跡地の巡礼での演奏を行っている。

パサデナで音楽教育に携わるメンバーのミコ・シュドウさんによると、22年にBCAがお盆のための曲とそれの踊りの振り付けを彼女らに依頼したという。大仕事の依頼を光栄に思う半面、自分たちにできるのかと不安もあったが、毎年夏はお寺のお盆の仕事をして育った彼女らは「やるしかない」と決心した。

BCAの音楽委員会の一員で、彼女らに曲を依頼するよう働きかけたクリス・クボさんはこのグループが「若い世代の代弁者」であり、「仏教のコミュニティを体現」し、「集団的な創造性は素晴らしく、多世代的なつながりを心と魂で表現する方法を知っている」と太鼓判を押す。

出来上がった「ランタン・ソング」は、シュドウさんやシロヤマさんが聴いて育った伝統的な曲とは異なり、ソフトロックやポップスに箏や太鼓といった和楽器が取り入れられている。曲の背景にある物語にインスピレーションを与えてくれたロサンゼルスの緊那羅太鼓の創設者である小谷正雄師、サンノゼ太鼓の創設者であるP・Jさんとロイさんのヒラバヤシ夫妻にも相談した。三世のフォークシンガーで小谷師と盆踊り制作に携わったノブコ・ミヤモトさんは「みんなつまずきながらやっているけど、そのつまずきこそが本当に楽しくてエキサイティング」と鼓舞してくれた。

P・J・ヒラバヤシさんは日系人の経験に真に関連した曲を作ろうとする彼女らの努力を称える。「昔の民謡や現代的な表現とも違う。でも実際に私の目を心を開かせてくれた。この曲は、彼女らが提灯(ランタン)を見上げる目を通して何を見ているのかを想像しています」

「私たちの曲は何かに取って代わるものではないのです」とシロヤマさん。「もっと伝統的な曲を楽しんでもいいし、これは過去にあったものから何かを取り去るのではなく、プラスになり得るものだと思います」

さまざまな仏教会でこの曲を披露したが、好意的に受け入れられているという。「『本当に感動した』と涙を流しながら私たちのところに来てくれる人もいるのです」とシュドウさん。「中には、『なぜかわからないけど、ミュージックビデオの間ずっと泣いていた』なんて人もいます。その数少ないコメントでさえ、すべてを価値あるものにしてくれるのです」

「ランタン・ソング」の視聴はhttps://youtu.be/yZMJ39gNHU0。この曲の盆踊りの踊り方のチュートリアルは、https://www.youtube.com/watch?v=gKKB-AGGeFA

Leave a Reply

Your email address will not be published. Required fields are marked *